アベンジャーズ インフィニティ・ウォーの感想を(ネタバレあり)

 ヒーロー映画が最後に勝つのは至極当たり前のことである。

 そんな約束された勝利でも、ヒーローたちがもがき苦しみながら勝利を手にする姿が見たくて劇場に足を運ぶ。手に汗を握り、時には目に涙を浮かべながら、そのヒーローたちの勇姿を見届ける。

 ヒーロー映画とはそういうものだ。ここまでのMCU18作品がすべてそうであったように。

 

 さて今作、MCU19作品目。アベンジャーズとしては3作目だ。この10年を通して展開された各々のMCU作品でその存在が小出しにされ続けたインフィニティストーンとそれをすべて手に入れようと企んでいるサノスの登場。言わば、このシリーズの総決算とも言える。

 今作の宣伝で頻繁に使われていた「アベンジャーズガチで全滅」と糞ダサいキャッチフレーズ(日本よ、これが映画だよりはマシだけど)が現す通り、僕自身も何となくヒーローたちが死んだりするんだろうなーという気持ちを持っていた。ただ、スパイダーマンガーディアンズ・オブ・ギャラクシードクター・ストレンジ辺りは続編が決まっているから死なんやろという驕り高ぶった気持ちも持っていた。

 

 前フリが長くなってしまった。感想を。

 まず初っ端の展開。前日に唯一MCUで観てなかったソーラグナロクを観ておいて良かった。完全にラグナロクの続きのような始まり方。あの希望のある終わり方の後に、こんなことになってしまったのかというショックを受ける。この時点でサノス怖い。

 

 そこからそれぞれ単独作品で主役を張るヒーローたちが戦いながら少しずつ集結していくとこに燃える。何よりガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々がきちんとジェームズ・ガン節で登場してくれることに歓喜

 

 ベジータならとっくに「スーパーヒーローのバーゲンセールだな」と言いそうな状態なのに、どんなにヒーローたちが入り乱れてても画面的に訳分からん状態にせず、きちんとまとめ上げているのはさすがシビルウォーでも完璧な交通整理を見せたルッソ兄弟だなと思った。

 特にドクター・ストレンジの魔術を利用した共闘アクションの爽快さは抜きん出てた。ただやはり力がインフレしているせいか打撃系のキャラがあまり目立たないというマイナス点もあった。ブラックパンサーブラックウィドウ辺りは特に。それを考えると、今回ホークアイを出さなかったのは正解だったのかなと。

 

 ラスボスであるサノスに関しても最初は極悪のヴィランと思わせておきながらも、野望への明確な動機や人間味のあるキャラクター性に、かなり魅力のあるヴィランになっていた。

 そしてファンの間でその生死がたびたび話題になっていたレッドスカルがキャプテン・アメリカ1作目のあとどうなったのかきちんと提示したのも良かった。

 

 そこはやはりMCU。過去作に登場した小道具を出して、分かる人には分かる的なおまけ要素をふんだんに盛り、観ている途中でニヤリとさせられる。

 

 そして終盤、ついにインフィニティストーンを全部手に入れたサノスが指をパチンと鳴らしたその刹那。全宇宙の半分の命が消えた。そう、ヒーローたちも。

 

 ここで僕は唸った。死なないと思っていた続編が決まっているキャラクタたちーがこぞって消えたのだ。もう「お前ら死なないと思っているだろうから殺しまーす」って感じだ。例えるならハレンチ学園の終盤でキャラクターたちがこの漫画でバクダンにあたってもせいぜい服が破れて裸になるだけだろうと高を括っていたら、体がバラバラになって死んだシーンを彷彿させる。

 話しは脱線したが、完全に僕の予想を裏切ってきたのだ。

 

 もちろんサノスに今作で勝てるとは思っていなかった。元々このインフィニティウォーは来年公開の4作目と連作になる予定だった。だからこその一旦のガチ全滅なのだろうと。

 ただし敗北と言っても、次作での勝利への希望がある敗北かと思っていた。そしたら違った。完全な敗北だった。

 

 ヒーロー映画でヒーローが敗北した。この10年をすべて無にするように。

 

 映画が物語の途中で終わるため、煮え切らない部分もある。評価を下そうにも、後編の出来で良し悪しは大きく変わってくるだろう。ただ、現状で、考えれるMCUのエンターテイメントをすべて見せられた感じ。やはり面白かった。とりあえず近いうちにIMAX3Dで観に行こう。

 

 PS.一番良かったのはスカーレットウィッチのおっぱいです